コロナウイルスによる米国の消費者行動の変化・ データからの将来予測 ~コンテンツ戦略業界の洞察~

ここ最近はどこを見ても、コロナウイルスの話題ばかりです。ニュースを独占するパニック状態がこの先どうなっていくのかを予測しようと、Web行動履歴とショッピング行動のデータから、COVID-19の別の側面が見えてこないだろうかと考察してみました。 TrenDemonは米国だけでなくAPACのコンテンツマーケティングチームと協力しているため、米国で今後起こるであろう消費者行動の変化の予測にお役に立つことが出来ればと、APACの消費者行動がどのように影響を受けているかをまとめました。

このブラックスワン(事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象)は、言わずもがな多くの企業や個人に直接的な影響を及ぼし、海外旅行やイベントに厳しい制限を課し、グローバルサプライチェーンを混乱させているだけでなく、消費者行動にも劇的な影響を与えています。自発的に検疫を受ける人々が増え、旅行やイベントが制限されているため、より多くのやり取りや取引がオンラインで行われています。

次の投稿では、ユーザーのオンライン行動で既に現れ始めている傾向をいくつか共有したいと思います。結論を出すのは時期尚早ですが(コロナウイルスとは何年か共存しているように感じるかもしれませんが、まだコロナが世界共通の話題になってから、わずか数ヶ月しか経っていません…)、いくつかの大きな変化が起こり始めています。

                

 Eコマースへの明確な影響

何十万人もの人々が在宅生活になっているため、オンライン(特にECサイト)活動が急増しています。 APACの一部のECサイトでは、昨年の同時期と比較して、過去数週間で売上が20〜35%増加しています。特に中国でサプライチェーンが混乱しているにもかかわらず、増加しているのです。

【図】水色:2019年のEコマース売上データ/紫色:2020年のEコマース売上データ。2019年の2月と2020年の2月を比較してみると23%の増加だが、2020年1月と2月を比較してみると34%の増加(TrenDemon調べ)

                             

活動が急増しているだけでなく、オンラインで販売(購入)される商品の種類も変化します

米国はコロナウイルスの症例が増加しているため、いくつかの商品不足がすでに発生しています。たとえば、世界中の多くの薬局では、消毒薬が売り切れになっています。店舗に無くても必要なので、こういった商品をオンラインで購入したことがなかった一部の顧客行動が変わり、商品のオンライン検索が増えます。マーケティング担当者が常に求めている重要な指標の1つは、顧客の生活の中で「行動を変えるイベントかどうか」です。この新型コロナウイルスの大流行は、世界中で何億人もの人々の購買習慣を変えていることでしょう。過去にオンラインで食べ物を注文するのに消極的だった人々が、今やそのメリットに気づき、UberEatsのヘビーユーザーになっているかもしれません。この新しい環境で繁栄する企業は、そういった消費者の行動変容に対して迅速に適応できる企業です。

2020年には、Eコマースは総小売売上高の12%を占めると予想されますが、コロナウイルスによる今年の第1四半期の消費者行動の変化は、2020年いっぱい、ひょっとしたらそれ以降にも影響を与え、休暇シーズンの売上に大きな影響を与える可能性があります。オンラインショッピングに対する消費者の快適さが向上し、テクノロジーがより直感的で身近になってきているため、小売ビジネスのデジタル化は以前の予測よりも速く成長する可能性があります。

                           

広告とメディア

OTTへの影響–この短期的な活性化は続くのか?

当然のことながら、OTT(Over The Top:インターネットによるコンテンツ配信サービス)のサブスクリプションも増加しています。 Piper SandlerのアナリストMichael Olson氏 は、GoogleSearchTrendsを使って、四半期ごとの「Netflix Navigator」と検索した消費者とNetflixの推定契約者数の関連性について発表しました。(参照リンクはこちら )

Olson 氏の調査によると、四半期の最初の2ヶ月間に「Netflix Navigator」で検索したユーザーの増加傾向が見られました。これは、ウォールストリートがNetflixにサインアップする消費者の数を非常に過小評価して予測している可能性があることを示しています。この Olson 氏の調査データは、米国とカナダのNetflix加入者が前年比3.8%増加するであろうことを示唆しており、1.6%の成長を予測する他のアナリストたちの推定数値の2倍を超えています。ただ、コロナウイルスが収束した時、人々は元の習慣に戻りNetflixを解約するでしょうか、どうでしょうか。

                          

広告費への影響

電通イージスネットワーク(DAN)は、3月上旬に中国の155社クライアントを調査し、またそれぞれのクライアントのリーダーの回答をその調査と照合して、各企業が短期的にどのようにコロナに対応しているかをより深く理解しました。

短期的なマーケティング費用を削減し、オフラインからオンラインに転用

47%の企業は、コロナの影響で売上の大幅な減少または深刻な影響を受けていると述べましたが、この段階では、広告出稿を完全に停止したのはわずか7%でした。

最初に22%の企業が行ったのは、クリエイティブと地域ターゲティングの変更でした。同様に、人々が自宅で過ごす時間が長くなるほど、各ブランドは広告出稿をオフラインメディアからオンラインにシフトし、14%の企業がオフラインからオンラインへ広告予算を移動したと回答しました。また、この調査によると、ほとんどの戦略変更は短期的なものであり、短期的変更を行ったのは61%なのに対して、長期計画を修正したのはわずか9%でした。

【図】青色:2019年1~2月のトラフィック数/紫色:2020年1~2月のトラフィック数。2020年1~2月のトラフィック数は、前年同月比13~22%増(TrenDemon調べ)

               

DANの北アジア責任者であるCheuk Chiang氏は、ブランドはまず、コロナによる風評被害と十分に顧客支援が出来ているかどうかを懸念すべきであると言います。

「まず第一に、この状況が人道的な問題を多分にはらんでいることを忘れてはなりません。文脈をよく理解した上で、ブランドは、風評被害を受けないようにするためにいつも以上に敏感になり、顧客の動きに対して瞬時に反応しなければなりません。ブランドは、この時代の変化を反映し、消費者感情を十分に汲んだコンテンツをつくる必要があります。プロモーションに柔軟なアプローチが出来るブランドは、より消費者とつながりやすくなります。メディアへの投資の観点から、私たちは家で過ごしている消費者に向けたメディアの再評価を行っており、デジタルチャネル、特にEコマースの促進に焦点を当てた短い動画やSNSへの投資が増えていくでしょう」とChiang氏は予測しています。

            

What’s next? –マーケターはこの新しくなった世界にどう適応していくべきか

Covid-19は世界中の企業に様々な問題を提起している一方で、屋内で過ごす人や旅行をキャンセルする人が増えるにつれて、顧客とのエンゲージメントを高める新しい機会も生まれるでしょう。TrenDemonが考える、企業が短期および長期の変化に適応するためのヒントは以下です。皆様のお役に立つことが出来れば幸いです。

              

1.この機会にオンラインコンテンツを増やし、視聴者を増やす

検疫下で多くの人々が自宅に閉じ込められているため、オンラインコンテンツの利用が急速に増加しています。あるレポートによると、中国のビデオプラットフォーム「Douyin」と「Kuaishou」では、574アカウントが、1月20日から2月2日のわずか2週間でそれぞれ最大50万人の新規フォロワーを獲得したそうです。

消費者とのエンゲージメントを高めるのに役立つ「ためになるコンテンツ」はもちろん、動画、質の高いコンテンツをつくって、ピンチをチャンスに変えてください。この日々状況が変わる中で、ここ数ヶ月、新しいニュースレターをなかなか送れずにいませんでしたか?旅行やイベントはキャンセルになりましたが、そのおかげで、ようやくそのマーケティング上の長期負債を返済する準備が整ったと考えませんか…

健康産業やフィットネス業界などの特定の業界は、顧客のためになるコンテンツをたくさん作成することができます。例えば室内でできる簡単な運動方法や、健康的な自炊メニューなど、ウイルスとの闘いを助けるような動画です。

2.新規営業よりも、顧客サポートに重点を置く

タイムリーで有益な情報を顧客に提供することで、競合他社と差がつくことでしょう。もし、あなたの企業がコロナによって現在特定の製品に対する需要過多や物流遅延などに直面させられている場合は、お客様に常に情報提供しておくことは特に重要です。

推定配達時間や予想される遅延について、細やかに最新情報を提供し続けることで、お客様のフラストレーションを少しでも減らし、安心して待ってもらえる環境づくりができるでしょう。 (これについてはAppier のコラムがお勧めです。)

3.技術面またはインフラ面の負債を完済する

特に、オフラインアクティビティ(イベント、旅行など)が制限されてしまうこの状況下では、忙しい日々に追われて今までなかなか取り掛かることが出来なかったオンライン上の技術的課題を解決したりして、これまでの負債を返済するとよいでしょう。短期的には、ほとんどの企業はこの状況が改善されるまで、大規模な設備投資を控えることでしょう。しかし、これは競争を勝ち抜く絶好の機会にもなりえます。より関連性の高いデータを拡充したり、より良い販売促進環境の整備やマーケティングのためのインフラの実装を優先することにより、顧客関係をより強化することができます。

        

もちろん、最も重要なのは、皆様それぞれが落ち着いて健康を保つことです。明けない夜はありません。

   

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