※本件は、2020年6月24日(水)18:00~19:00に株式会社はてな様と共催したオンラインセミナー「コンテンツマーケティングの最新トレンドと情報資産活用」における第二部の書き起こしになります。
このセミナーの第一部のサマリーはこちらをご覧ください。
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【質問に答える人】
サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 メディア統括グループ シニア メディアプランニング マネージャー 福吉敬さん
株式会社はてな サービス・システム開発本部 プロデューサー 磯和太郎さん
TRENDEMON JAPAN 株式会社 セールス/マーケティング統括ディレクター 嶋添心悟
【質問する人】
TRENDEMON Marketing Director 栗田宏美 & セミナーにご参加された皆様
※グラフィックレコード:上園海(@_okinawaa)
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事業会社の元オウンドメディア担当者がTrendemonのサービスに惚れた理由
(TRENDEMON栗田):第一部ではサッポロビール福吉さんの非常に先進的なコンテンツマーケティングに対するお取組みを、磯和さんに掘り下げていただきました。この第二部では、ちょっと趣向を変えて、Q&Aコーナーにしたいと思います。その前に、私とTrendemonの出会いについてお話ししたほうが立ち位置が分かりやすいかと思います 。
(はてな磯和さん):栗田さんが、セゾンさんのCVCにいらっしゃった時ですよね?どうしてそもそもTrendemonへのご出資を推進されたんですか?
(TRENDEMON栗田):実は元々「SAISON CHIENOWA」というオウンドメディアを立ち上げから運営までやりまして、その経験から、TRENDEMONの示す方向性は、コンテンツマーケティングをやっている企業のペインを解決するなぁ、と思ったからです。当時、自分も含めてなんですけど、とにかくKPIがブレまくったという反省がありまして…。特にクレディセゾンは70券種以上カードを持っていますし、複数ドメインのWebサイトももちろん持っていますし、ドメインをまたいだユーザー分析はその当時あまりできませんでした。ジョブローテーションがあるので、なかなか分析回りのノウハウがたまらないという悩みもあり。コンテンツのROIを可視化することが出来なかったなぁという反省があったんです。なので、TRENDEMONはひとつの機能を研ぎ澄ませたサービスというより、アトリビューション計測・分析・Web接客などインプット/アウトプット両面でのコンテンツマーケティングにまつわる課題解決型サービスというところもイスラエルっぽくて、スケールの可能性を感じさせました。第二部は、そんな私が福吉さんと磯和さんに、聞きたいことを聞いちゃおうのコーナーです!(笑)
(はてな磯和さん):なるほど(笑)。理解しました。
「前提」に合っているCMSを選ぶことで、時間とリソースが節約できる
(TRENDEMON栗田):では早速なのですが、磯和さんに質問です!オウンドメディアを構築していく際、仕組みを選ぶことになると思うんですけど…CMSの違いについて知りたいです。選び方のポイントや、目的別の向き不向きを教えてください!
(はてな磯和さん):すごく分かりやすく言うと、優秀なエンジニアが社内にいっぱいいて、すぐ対応できて、Webマーケティングのトレンドも理解されてるんだったら、全部スクラッチで作ればいいと思います。でも、そんなリソース・時間・ノウハウが揃っている場合って、滅多にないわけですよね。負担を軽減するために、いろいろなCMSがありますので、自社のオウンドメディアに合うものを選ぶのが良いと思います。
例えば商品部と随時連携して商品情報をどんどん更新していくということが前提にあるんだとしたら、商品情報を必要なタイミングで柔軟に取り込むための仕組みが備わっているかどうかも選定のポイントになりえます。コミュニティを作ることが前提にあるんだとしたら、コミュニティ運営に必要な機能が最初から実装されているCMSのほうが、使う側の手間が省けますよね。 そういう「マスト」な前提が何かによって、WordPressなのか、SaaSのCMSなのかを選んでいくと良いと思います。
ただ、WordPressの場合、アップデートだったり運用トラブルへの対応も必要なので、それができる体制を整えることができるかもポイントになると思います。体制に不安がある場合は「はてなブログMedia」のようなSaaS型CMSから選ぶのが良いと思います。
ちなみに、サッポロビールさんはWordPressを使われてますよね?
(サッポロビール福吉さん):そうですね、いわゆるブログメディア的なものはWordPressを使っていて、サイト自体はPower CMSです 。
(はてな磯和さん):使い分けてらっしゃるんですね。
(サッポロビール福吉さん):そうですね。
(はてな磯和さん):用途・リソースによって使い分けるといいですね。サッポロビールさんのように、何に重点を置くかを軸にCMSを選ぶと良いと思います。
商品を主役にするのではなく、文脈の中に商品を「置いてくる」
(TRENDEMON栗田):次は福吉さんにお聞きしたいです。社内でコンテンツマーケティングを啓蒙する工夫をされていますか?第一部で、「社内勉強会」について触れられていましたが、どんな人を対象にどんな内容の勉強会をされていますか?
(サッポロビール福吉さん):まずは僕たちの場合、いかにブランドに触れてもらうか、がコミュニケーションの至上命題なので、ブランドマネージャーを対象に勉強会をやっています。ブランドマネージャーと会話をするんです。「何を実現したいのか?」「どんな人に伝えたいのか?」「ブランドのありたい姿は?」そんな風に聞いていくんですけど。要説明商品や理解深耕をはからないといけない商品には、コンテンツがすごく効くんですよ。でも、一回で伝えるのか、複数回に分けて伝えるのか、それは商品ごとに違います。メインストリームの商品はテレビCMを何千GRP流していきましょうとかやるんですが、そこから先、「この商品はこういう商品です」と伝えていくのはコンテンツマーケティングなんですよね。
ブランドマネージャーには、とことん寄り添って一緒に作ることを意識しています。そこまでやらないと、良いコンテンツは出来ないと思っています。例えばプライベートDMPチームに、「一緒に分析してください」って巻き込んでいくとか、社内だけではなく外部についても例えばツールの管理画面を代理店さんやパブリッシャーさんにも開放して、成果の分析を一緒にやったり、パートナー企業を含めてラウンドテーブルを作っています。
(TRENDEMON栗田):なるほど!あ、セミナーの参加者の方から質問がきました。福吉さんに質問です。「ゴールを商品の購入だとすると、オウンドコンテンツ内で商品の魅力を一方的に押し付けてしまうような企業側の伝えたいことばかり詰め込んだコンテンツになりがちです。そうしないようにするための工夫は、どんなことをされていますか?」とのことです。
(サッポロビール福吉さん):商品の作りにもよるんですが…。僕は、コンテンツマーケティングをするときによく「商品を置いてくる」という表現をします。文脈を作っていって、知って欲しい人たちが興味関心のあるものを見つけ出したら、その文脈の中にどう商品を置いてくれば、一番受け入れられるのかということを考えるようにしています。「この商品はこんなに原料にこだわって、こんなところがおいしさの秘密で…ドヤ!」みたいなコンテンツをあまり作らないように心がけてるんです。
なので、僕が目指すのは、例えばレシピ主軸にコンテンツを作って、「このレシピ美味しいですよ、週末に家族と一緒に食卓をワイワイ囲むときは作ってみてね、そしてこの商品はこういうレシピに合うから飲んでみてね」みたいな。商品ではなく、顧客の求めるシチュエーションとか顧客の興味を主役にしたい。商品を主役にしてしまうと、商品に興味がある人しか来ないんですよ。これは、過去の失敗から学んだことです(笑)
編集力より、編成力。オウンドメディアを作るために必要なスキルとは
(TRENDEMON栗田):次は、お二人に聞きたいです。オウンドメディアをやるにあたって、編集力は必要か?出版社でもなくコンテンツクリエーターでもない普通の企業が、オウンドメディアをやるにあたって、編集力が必要だと思うんですけど、どう編集力をつけたらいいでしょうか?
(サッポロビール福吉さん):正直、僕は編集力よりもオリエン力のほうが大事だと思ってるんです。やりたいことを言語化して、説明する力のことですね。最悪、事業会社は文章書けたほうがいいけど書けなくてもいいし、編集できるに越したことはないけど、編集できなくてもいいと。こういう結果が欲しいので、こういう方法で評価したいです…みたいな、一連のオリエンテーションが出来るという。自分のやりたいこと・ブランドのやりたいこと・会社のやりたいことを明文化して、ちゃんとプロフェッショナルに説明できるスキルのほうが大事だと思います。小説家になるわけでも、編集者になるわけでも、写真家になるわけでも無いので。
(はてな磯和さん):同意です。しいて言うなら、例えばニッチな商材で、コンテンツを作れるところが自社しかないっていう状況なら、編集力は必要だと思うんですが、そうじゃない一般的な場合は、上がってきた企画や記事について、「これを先に出そう」とか優先度を決める力…つまり「編成力」が大事だと思います。編集力より、編成力のほうが必要。その編成力の延長線上で、編集力があるならそれはそれで、オリジナル記事をゼロから作ることが出来るってことなので強いとは思いますが。採用目的のコンテンツとかは、文章がたとえ拙くてもオリジナリティや会社の良さが伝わることを優先して、自社の社員が書くことで説得力増しますし。全体の戦略があって、ゴールがあって、それに向かうためにどうすればいいかを言語化するスキルのほうが大事かもしれませんよね。
(サッポロビール福吉さん):今お話ししてて思ったんですけど、「エグゼキューション力」も大切かもしれませんね。「エグゼキューション力」っていうのは、社内を突破する力という意味で使っているんですけど、それが無いと延々と「なんか違うんだよね」っていうコミュニケーションが発生するんですよね。なかなか難しいんですけどね(笑)。でも、「なんか違うんだよね」が始まると、言語化できていないから解決策がわからなくて、負のスパイラルになっちゃうんですよね。
(はてな磯和さん):販促系のプロモーションで、代理店の現場であるあるですね…(笑)。クライアントに「なんか違う」ってボツにされて、それを持ち帰って上長に説明するとき、自分も言語化出来ないし、修正依頼もかけられないという…。補足すると、それを防ぐためには外部やパートナーも巻き込んで「編集部」を組成して、評価の方法も含めて共有する仕組みを作ると、事業主側にもノウハウが蓄積されやすいなと思います。
コンテンツマーケティングの両輪、「コンセプト・パーパス」と「評価方法」
(TRENDEMON栗田):ところで、コンテンツの評価については、オウンドメディアをやる上で外せませんよね。福吉さんのところは、ちゃんとその評価ロジックが整理されているというところが凄いと思います。データを見る順番を決めるとか、やってみると難しいんですよね。
(はてな磯和さん):GAで出来ることもあるんですけど、アトリビューションを取ろうと思うと難しいところもありますしね。でも、コンテンツマーケティングを続ける意味って成果だと思うんで、成果をどう測るかを、設計することはとても大事ですよね。そこで、TRENDEMONさんの出番なんだと思うんですけども。
(TRENDEMON JAPAN嶋添):はい、実際ECサイトの売上とつなぎこんで、どのコンテンツがいくら分の売上に貢献しているのかを可視化している、アメリカのWalmartさんの事例もあります。媒体に広告記事を出稿する場合も、その媒体にTRENDEMONタグを入れてもらって、可視化しているんです。ラストタッチでは追えない、ナーチャリングフェーズに効いていたコンテンツも、これで価値を測れるようになりました。
(TRENDEMON栗田):コンセプトとかパーパスがまず大事ですが、それとセットで評価方法を設計しておかないと、更新が目的になってしまいますから…。最後に、コンテンツマーケティングに取り組む皆様に向けて、コンテンツマーケティングの極意を、福吉さんお願いいたします!
(サッポロビール福吉さん):幸い、弊社はとてもチャレンジしやすい環境なので、コンテンツマーケティングの施策がやりやすいです。成果が悪かったことをなじるのではなくて、「なぜ失敗したのか?」を追究し、次の施策に活かす。その社風作りというか、組織風土作りが必要だと思います。そして、コンテンツマーケティングは「何を達成したいか」をちゃんと持って始めると良いと思います。コンテンツマーケティングをうまく進めるコツは、事業会社→広告代理店→編集会社→ライターみたいなリレー型コミュニケーションをするのではなく、関係者みんな円卓に座って議論するラウンドテーブル型のコミュニケーションをしたほうが良いと思っています。
(TRENDEMON栗田):磯和さん福吉さん、貴重なお話本当にありがとうございました。ご参加いただいた皆様、ご清聴ありがとうございました!
また、TRENDEMONは、はてなさんのオウンドメディアCMS「はてなブログMedia」の導入企業様に「TRENDEMON」の導入トライアルをご提供しています。詳細はこちらのプレスリリースをご確認ください。
本セミナーのオープニングトーク・第一部のレポートはこちらのリンクをご覧ください。
【セミナーオープニングトーク:コンテンツマーケティングのトレンドと、TrenDemonが提案するコンテンツドリブンな世界(オンラインセミナーレポート)】
【セミナー第一部:サッポロビールが取り組むコンテンツマーケティングと情報資産活用 】
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