AI検索によるゼロクリック時代にABMが優位になる理由

AI検索(ゼロクリック)時代の到来

直近、AIによる検索(ChatGPT、Perplexity、Google AI Overviewsなど)が急速に普及し、「ゼロクリック検索」といわれるサイトへの流入を伴わない、生成AIによるクイックな情報収集が増加しています。(Google検索の半数以上(58%)が クリックされずに終わっている)

従来のようにクリックされてサイト訪問につながるケースは今後徐々に減少していくことが予想されています。またTRENDEMONの独自調査でも特に2025年に入ってから生成AI関連からのサイトへの流入数も前年度対比で3倍以上の伸び率となっていることが明らかになっています。

※出典:TRENDEMON 独自調査2025年5月時点

サイト全体への影響はまだ少ないが莫大な機会損失が起こる可能性がある

Ahrefs Pte Ltd.社の最新調査では、AIが創出しているサイトへのトラフィックはまだ依然として全体のわずか0.5%となっていることからも大きな影響が出るほどまでには至っていません。しかしながら、注意すべきはそのCVRの高さにあります。本調査でさらに明らかになったのは従来のオーガニック検索の訪問者よりもAIからの訪問者のCVRが23倍高いということです。現在、リード獲得のために多くのコンテンツ情報をフォーム入力のために非公開にしているBtoB企業が多く存在しますが、これらの行為は生成AIが購買担当者にサジェストする候補から対象外になることを意味します。

AI時代にABMがなぜ優位なのか

しかし、TRENDEMONが提唱するABM(アカウントベースドマーケティング)を実践している企業にとって、現在の状況は極めて優位にあるとされています。その秘密はABMのコンテンツ戦略がAIの評価基準と親和性が高いことにあります。

ABMのコンテンツ戦略がAI時代に優位な理由

ターゲット企業に対しての専門性・独自性の高いコンテンツ提供

AIのシステムは権威性、専門知識や独自性を評価するように訓練され、これまでのような汎用性の高い、独自性のないコンテンツは評価されにくい評価構造となります。また、”セマンティックアソシエーション” (意味的連想性)も重要な評価ファクターとなっており、コンテンツ全体で一貫して使用されているキーワードに基づいて、AI システムがそのブランドを特定のアイデア、質問、トピックに強く関連付けるようになっていることが報告されています。(出典:6sense)

「ABM」というキーワードを例にしたセマンティックアソシエーションのイメージ図

これらを踏まえ、ABM戦略にもとづくコンテンツ制作はもとよりターゲットを明確化にしたうえで、専門性の高いコンテンツ制作を行い、必要に応じて調査を行いながら客観的なファクト情報に裏打ちされた自社の強みなどを、独自性の高いブランドメッセージとして購買ファネルごとに発信する設計思想となっています。そのためABMコンテンツは、AI時代においても極めて評価されやすいものとなっています。

購買関係者へのコンテンツ解放

従来のBtoBマーケティングでは可能な限りリード件数を最大化させることを念頭に設計されるため、コンテンツ閲覧にはフォーム入力を必須とし、非公開の情報が多くなってしまいます。しかし、AI時代においてはこれらのゲートコンテンツは逆効果となり、AIに評価されずに今後さらに大きな機会損失に繋がることが予想されます。また購買ファネルの7割以上がアノニマスの状態で完了してしまうという現在のバイヤージャーニーにおいてもフォーム入力を必要とするゲートコンテンツは今後より一層、機能不全に陥ることが予想されます。

一方でTRENDEMONが提唱するABM戦略においてはコンテンツは基本的にはゲートコンテンツ化させずに可能な限り公開していくことを推奨しています。これはAIによる評価を優位にするだけではなく、BtoB購買において極めて重要であり、その理由の一つにBuying Group(購買関係者)の存在が大きく影響しています。

BtoB商材の場合には、購買に至るまでに一般的に社内で最低10名以上の関係者を巻き込む必要があります。その場合、関係者の役割ごとに当然必要とするコンテンツ情報が異なってくるため、仮に多くのコンテンツ情報をフォーム入力を必須とし非公開になっている場合に、Buying Group(購買関係者)とのエンゲージメントを構築していくことは極めて困難になります。したがって、過度なコンテンツのフォーム化はAI評価だけではなく、購買プロセスにおいても今後大きな足かせとなると考えられます。