学校法人 瓜生山学園 京都芸術大学 広報課 作山 朋之 様 (※本記事は2020年10月13日にExchangeWireで公開されたインタビュー記事の転載となります。) 教育に今必要なのは「コンテンツ」 ―自己紹介をお願いします。 作山様:京都芸術大学で通学課程と通信教育課程の広報・PRを担当する作山と申します。(※インタビュー当時)以前は両課程の学生募集を担当しており、とりわけ通信教育課程では新規学科や教育コンテンツの開発を合わせて手掛けていました。この春から現職となり、マーケティングファネルで言えばより上流の業務に携わっています。 TRENDEMON 嶋添:TRENDEMON JAPAN(トレンデーモン・ジャパン)の営業・マーケティング統括の嶋添と申します。当社は主にオウンドメディアを運営する企業様向けの分析ツールを提供しており、日本法人を立ち上げて2年目。今年6月から京都芸術大学様との取り組みをスタートさせて頂いているのですが、これまで私個人としても、国内の50社以上の大手企業様のオウンドメディアを計測、分析サポートしてきた中で教育業界でのご利用が実は初めてのことだったということもあり、お話するまでは具体的なツールのご利用イメージがクリアに湧いていませんでした。(※インタビュー当時) しかし、こうしたコロナの状況下において、これまで当たり前のようにあったオープンキャンパスや、展覧会、学園祭などのイベント、そして授業といった大学のコアな部分が揺らいでいる、教育業界こそが「コンテンツ」を今最も必要としているのだと作山様とお話をしていく中で強く感じ取ることができました。 ―大学機関ではどのようなマーケティング施策を実施しているのでしょうか。 作山様:まず本学の場合、大前提として「通学課程」と「通信課程」ではターゲット層が大きく異なります。前者は高校生であり、後者は主に社会人です。 「通学課程」を希望する高校生の大半は今やほぼ例外なくオープンキャンパスに参加する時代です。高校の進路指導でオープンキャンパスへの参加を積極的に働きかけていることもあり、どの大学でもオープンキャンパスを年に何度も開催していたのですが、コロナ禍でこれがすべてできなくなりました。このように今まで学生に対してオフライン上でナーチャリング施策として実施していたコミュニケーションをいかに今後大学としてデジタル上で転換していけるかが急速に求められています。 一方の「通信教育課程」への入学希望者は幅広い年代層で、キャリアチェンジを考えている社会人の方から、定年後のご年配層の方まで多種多様です。コロナ禍以前から、本課程の特性上WEB上でのコミュニケーションを重視してきたこともあり、様々なCRMツールを導入した上で、メール配信やオウンドメディアの個別最適化にも先んじて取り組んでいました。 学校法人 瓜生山学園京都芸術大学 広報課 作山 朋之 様 ―広告施策についてはいかがですか。 作山様:これまで年間を通して大きな予算を特にWEB広告に対して投じていました。ただ、WEB広告は打てば打つほど「ユーザーから嫌われる」という印象はぬぐい切れません。 運用型広告には「効率の良い広告クリエイティブが自動的に選ばれる」という特徴がありますが、逆に言えば「今ならお買い得」「豪華プレゼントを提供」といった表層的な内容ばかりが高く評価されやすいのではないでしょうか。このような仕組みの中では、広告を通じて“学びの本質”を伝えることなど到底できない。だからこそオウンドメディアを最大限に活用しながらコンテンツコミュニケーションを強化していきたいと思っています。 TRENDEMON 嶋添:おっしゃる通り大きな括りとして、マーケティングという観点からみるとWEB広告の大部分が顧客を“刈り取る”ことばかりに目が行きがちです。車や保険サービスと同じく検討商材である教育サービスは特にカスタマージャーニー自体が長く、刈り取りを目的としたコミュニケーションだけでは、入学検討者や学生さん達の気持ちに寄り添うことは到底難しく、“ロングエンゲージメント”を積み上げていくことはできません。だからこそオウンドメディアなどを通じたコンテンツを起点にした長期的なマーケティング施策が求められるということを痛感しています。 「数値化」できないことはやらない ―京都芸術大学がTRENDEMONを導入するまでの経緯についてお聞かせください。 作山様:本学がマーケティング施策を実施する上で重視していることが3点あります。 「計測検証できないことはしない 」「“Fail fast”-どんどん失敗する」「なんでもかんでも自分が実行しようとしない」 1.については、施策ごとにKPIを設けて、その達成ぶりを数値的に評価できることが重要です。各施策の良し悪しを感覚だけで捉えたところで何の役にも立ちません。 2.は、大きなホームランを狙うのではなく、仮説を立てた上で小さく失敗を繰り返し、学習の機会を得るという意味です。 3.は主に自動化機能の活用です。例えば広告やCRMにおけるターゲティングやタイミングの調整などのように、自動化できることは機械に任せ、人間は人間にしかできないクリエイティブ領域に集中すべきだと考えます。 コンテンツマーケティング関連では様々なサービスが提供されていますが、その中でもTRENDEMONはこれら3つの観点を満たしているツールであると判断しました。オウンドメディア上に公開された各コンテンツをジャーニー上で数値的に評価し、またその評価を踏まえ、レコメンデーションのPDCAを回すという一連の作業が自動化されているからです。 ―オウンドメディアの計測ではこれまでGoogle Analytics(GA)が一般的には広く活用されてきましたが、その点はいかがでしょうか。 作山様:GAも当然併用しているのですが、違いでいえば例えば、TRENDEMONではPVだけではなくコンテンツのボリュームによって動的に滞在時間やスクロール率を加味し、読了率を精緻に計測しています。当たり前のことですが、記事はきちんと読まれて初めて意味を持つもの。読了率は非常に重要です。 そして、もっとも大きな違いは「アトリビューション」だと思います。コンバージョンについては、GAではラストセッションを主な分析対象としています。。学生募集を担当していたころはそのような短期的なものでも良かったのですが、今春から広報・PR部門に異動したことで、以前から課題に感じていた中期的なコンテンツマーケティングの必要性がより顕在化してきました。とりわけ顧客育成を目的としたコンテンツ施策となると、長期間のジャーニー計測テクノロジーを持つ計測ツールが必要になります。この問題意識とTRENDEMONのソリューションがちょうど合致しました。 ※TRENDEMONによって可視化できるジャーニー範囲イメージ TRENDEMON嶋添:コロナ禍以前はコンテンツの価値を企業体として証明することがそれほど強く求められていなかったと思います。広告最適化だけにリソースを投じた方が短期的にはROIを改善しやすく、カスタマージャーニー全体を把握する必要性が高くありませんでした。ただ現在のようにオンラインコミュニケーションへの注力度が高まるにつれ、コンテンツへの投資は今後も加速していきます。その結果、弊社のクライアントでもある米国のウォルマート社を始めとする大手グローバル企業では既にコンテンツの費用対効果を可視化することは当たり前になってきており、その上でどのコンテンツを優先的に企画投資するのかを選定しています。このトレンドは国内でも徐々にではありますが、広まってきていると感じます。 またITPやCookieの制限などに見られるように、今後ユーザーデータの取得がより一層困難になっていく状況に対して、従来の計測ツールだけでは対応できない部分を補完する役割としてTRENDEMONを皆様にご利用を頂くケースも増えてきています。 コンテンツの自動パーソナライズ ―京都芸術大学におけるTRENDEMONの具体的なご活用法をお聞かせください。 作山様:計測以外でいうと、Personalizationというレコメンド機能を活用しています。以前は何かコンテンツを一つ公開すると、公開時にパッと読まれる以外は閲覧数は少なく、眠ったコンテンツになってしまっていました。それが、Personalizationによるレコメンド機能によって過去に作成したパフォーマンスの良いコンテンツが、ユーザーごとにパーソナライズされた形でレコメンドできるようになったのです。それも自動的に。 ※記事下に表示された「TRENDEMONによるパーソナライズレコメンド記事」 また、コンテンツ制作という観点からもTRENDEMONのデータを通してどのようなコンテンツがジャーニー上のどの場所で貢献しているのかを把握することで、より精度の高いコンテンツを作れるようにしていきたいと思っています。 ただ、コンテンツマーケティング業務に携わる人であれば誰しも、具体的に読者層を想定し、ものすごく丁寧に時間をかけて制作したコンテンツが全く読まれなかったり、もしくは気が赴くままに書いた記事が意外と評判を集めたりといった経験を持っているのではないでしょうか。 だからこそ本学では、データ分析に過度に縛られるのではなく、「とりあえず気軽にコンテンツを投下し、ユーザーの反応を見てみよう」という方針も持ち合わせています。その上で、それぞれの作成したコンテンツが結果的に「ランディング(認知)」「ナーチャリング(興味関心)」「コンバージョン(決断)」のどのポジションに貢献しているかを把握することが重要です。これら一連の流れを想定していなければ、既に顕在化したニーズに対してのみ刺さるような情報を提供するしか術がなくなります。それでは刈り取り型の広告施策と変わらず、顧客育成につながりません。 TRENDEMON嶋添:作山様のおっしゃる通り、全体のジャーニーを意識せずCVに近いコンテンツばかりを狙って記事制作をすると、どうしてもコンテンツの企画の広がりに限界があったり、実際に読者からすると、読み応えのないものになってしまいがちです。 京都芸術大学様のコンテンツの中で個人的にも好きなコンテンツがありまして、京都ならではのローカル食文化や自然について書かれたコンテンツがあるのですが、一見すると資料請求などのCVに関連する要素は全く入っていないので、あまりCVに貢献していないように思われますが、実は資料請求者の多くがジャーニー上の入り口やナーチャリング部分でこのようなコンテンツを多く読んでいたということが明らかになりました。これは従来の計測ツールよりも長期間のジャーニーを可視化することができるからこそ得られたコンテンツインサイトであると思っております。 出典:瓜生通信 (https://uryu-tsushin.kyoto-art.ac.jp/) ―その他分析業務にはどのように役立てていますか。 作山様:ニュースリリースやSNSを含めた広報・PR業務を少人数で担っているので、正直なところ、オウンドメディアの分析にかけられる時間はそう多くありません。その点TRENDEMONのダッシュボードはすでに集計されたデータがインサイト化された状態で出ていますので、これをざっと見るだけでコンテンツのパフォーマンスを把握することができます。 ※TRENDEMONのダッシュボードサンプル画像 また、分析に時間をかけすぎると、それに反比例するように創造性が発揮されません。ざっとした分析を通してある程度の仮説を出したら、まずはアウトプットすることを優先すべきです。TRENDEMONを導入したのは、私のような素人でも一目見ただけで状況を把握することができるからです。データ編集及び分析業務ではなく、コンテンツ制作にこそ人手をかけたいと考えています。 TRENDEMON嶋添:当社として、ツール単体のユーザービリティについてはもちろんまだまだ多くの改善の余地がありますが、一般的なアトリビューション分析ツールと比較しても誰が見ても分かりやすいダッシュボード設計を心がけていると共に、海外のツールベンダーでは珍しく、日本のお客様から頂いたリクエストをもとに機能ローカライズ開発も海外市場と同水準のプライオリティで高速で実施しています。またコンテンツマーケティングのご担当者様は常に多忙な状態であり、コンテンツ制作で精いっぱいで、分析する時間がないのが現状であると思います。そこで当社では月に一度のレポーティングやシステム設定を含めた人的な支援も合わせて提供しています。 リーチのパーソナライズ機能も強化 ―TRENDEMONの機能で最新のアップデートがあればお聞かせください。 TRENDEMON嶋添:間もなくダッシュボードのUIが大きく刷新される予定です。またSalesforceのPardotなどのMAツールと連携させることで顧客リストや弊社のジャーニーデータをかけあわせた形でより精度の高いリーチ施策が可能となります。例えば業種やスコアリスト情報だけではなく、コンテンツの閲覧履歴に基づいたお勧め記事をパーソナライズされた形でメール配信することも可能になります。この取り組みではメールの開封率が以前の数倍以上になったと、驚異的な成果もお客様から頂いており、オウンドメディアの中だけでなく、リーチ手段のパーソナライズ化も今後強化していきます。 ※外部ツールとの連携した場合のパーソナライズイメージ ―最後にお二方の今後の活動の展望についてお聞かせください。 作山様:広告施策は最適化が進んだことで既にコモディティ化しました。中期的な施策を反映できるオウンドメディアであれば、独自のブランド価値を打ち出すことができます。ただし、ブランド価値をどれだけきちんと伝えることができたかを判断するには、ナーチャリング段階を適切に評価する枠組みを整備しなければなりません。従来のツールテクノロジーでは対応していなかった領域である以上、TRENDEMONのような補完的なツールを使いながら今後もコンテンツ施策に取り組んでいきたいと思います。 TRENDEMON嶋添:これまでコンテンツはROIで可視化しづらい領域であるが故に、そのバリューが軽んじられてきた側面がありますが、広告が嫌悪されている時代の中で原始的ではありますが、“コンテンツ”こそ企業が生活者の気持ちに共鳴を呼び起こすことができる、残された数少ない強力なコミュニケーション方法であると思っております。 微力ではありますが、コンテンツの持つポテンシャル、そしてコンテンツを日々一つ一つ「想い」を込めて制作されているご担当者様の努力がこれまで以上に適正かつ、最大限評価されるように弊社としてもツールテクノロジーのアップデートを日々行ってまいりたいと思います。
〜TRENDEMONをご活用頂いている企業のご担当者様に、実際のご利用方法やコンテンツマーケティングの取り組みについてご紹介する、インタビュー企画。今回は株式会社スタディスト様にお話をお聴きしました。〜 (TRENDEMON):それでは、初めに皆様の自己紹介をお願い致します。 (今井様):株式会社スタディストでマーケティングを担当している今井と申します。担当している業務としては、前職が代理店だったということもあり、デジタル広告全般を主に担当しておりますが、直近はオンラインセミナーの企画運営も行いながら、それとは別にサイト周りの更新管理全般も担っております。 (佐藤様):同じくマーケティング部ユニットリーダーの佐藤と申します。私の経歴としては前職では人材系の企業で広告営業からキャリアをスタートさせ、2017年頃からマーケティング業務に携わるようになり、MAやデータ分析などや、レコメンドエンジンの開発なども行っていました。元々の自分の中で大切にしていた行動軸として「気づき」を周りに与えることでより良い社会にしていきたいという思いがあり、2019年に現在のスタディストに入社致しました。 (TRENDEMON):ありがとうございます。スタディスト様の会社概要についても簡単にご紹介頂けますでしょうか? (佐藤様):はい。弊社は2020年で設立10周年を迎えたベンチャー企業です。「伝えることを、もっと簡単に。」というミッションを掲げ、そこに対して我々は「Teachme Biz」という、マニュアル作成、更新管理を手軽にすることで人材育成の質や効率、そして企業全体の生産性向上を実現するサービスを提供しています。 ※クラウド型手順書作成ツール「Teachme Biz」 https://biz.teachme.jp/ (TRENDEMON):「マニュアル作成管理」のソリューションということですが貴社の歴史としては設立時の10年前から同様のサービスを提供されていたのでしょうか? (佐藤様):実は、会社の歴史としては弊社代表の鈴木と現副社長の庄司が元々製造系企業の業務効率化コンサルティングを行っていたところからスタートしています。 その中で、企業の業務効率化においては作業を可視化し、管理するSOP(標準作業手順書)が極めて重要であることに気づき、「Teachme」というクラウド管理型のマニュアル作成サービスを誕生させるに至りました。それから、よりB2B向けのプロダクトとして特化させるべく「Teachme Biz」というサービス名にアップデートされ今に至ります。 これまで取り組んできたマーケティング活動について (TRENDEMON):創業から10周年を迎えた貴社ですが、これまでのマーケティングの取り組みなどにおいても会社の成長ステージと共に多くのことを実践、ご体験されてきたかと思うのですが、いかがでしょうか? (佐藤様):実は、組織として本格的にマーケティングに取り組み始めたのが2017年頃になります。それ以前はマーケティング組織が立ち上がりのフェーズだったこともあり、主な施策はお客様からの紹介や、イベントといった集客をメインに行っていたのですが、ある時に頭打ちがくるようになってきました。 そして、マーケティング強化の必要性を強く感じるようになり、組織面でも専任のCMO採用を行い、ファネル上の潜在ユーザーへのアプローチとして認知、啓蒙のための様々なマーケティング施策をこの2年で本格的に取り組むようになりました。そのような流れでコンテンツマーケティングなども徐々にブラッシュアップしていくようになりました。 コンテンツマーケティングの目的と意義 (TRENDEMON):ある意味ニーズがすでに顕在化したユーザーに対してのこれまでのアプローチ手法から、新たに「ニーズを掘り起こす」ような潜在ユーザーへのアプローチをしていく必要があると感じられたタイミングで貴社がとり分け「コンテンツ」に注目したのはどのような理由や狙いがあったのでしょうか? (佐藤様):「Teachme Biz」というプロダクトの特性もあるのですが、対象となるお客様の業界が多岐にわたり、なおかつ商材として第一想起として認知理解してもらうには一定の時間をかけた、コンテンツを通した認知、啓蒙のコミュニケーションが必要です。弊社のようなHorizontal SaaSのソリューションはお客様ごとにご利用価値が異なり、情報としてもユーザーごとに様々な価値訴求を提供することが求められます。そのため画一的なLPではなく、コンテンツのようなフォーマットでないとカバーできないということがあります。 その上で、弊社でコンテンツ施策を推し進めることができたもう一つの要因としては、以前から社内ブログの中で一定のコンテンツ数を先行して作成・保有していたということもあり、トラフィックが一定数担保されていたことも大きな要因としてあります。 ※「Teachme Biz」ドメイン内のブログコンテンツ https://biz.teachme.jp/blog/ (TRENDEMON):国内では特に、コンテンツマーケティングに取り組まれている方の多くがSEOに注力しているかと思うのですが、流入施策としてのSEO自体が、いつの間にか目的化してしまう傾向がある中で、貴社はSEOに縛られず、本質を見失うことなく新興広告メニューにも取り組んでおられるかと思うのですが、何か流入施策においても意識されていることはありますでしょうか? (今井様):デジタルマーケティングの文脈でいうと、コンテンツ施策を本格的にやり始める前はリスティングやリマーケティングのような購買意欲のある方中心の広告を実施していました。ですが、想定していたようにうまくいかず、通常であれば獲得が見込める従来の広告リーチ施策が弊社商材の特性上、その当時は機能しなかったこともあるかと思っています。 原因としては、普段の生活の中で「マニュアル作成」について考える人は少ないです。少ないため、既にファネルのボトムに位置する見込み顧客が圧倒的に足りていないことが課題となります。現在、Outbrain(アウトブレイン)などのコンテンツとの相性が良いネイティブ広告にも出稿しており、徐々に新規獲得件数が増えはじめるようになりました。 また先程、佐藤が申し上げた通り、予め自社ブログ内に一定のコンテンツ数を所有していたことが出発点にはなるのですが、自社サイトへの流入元はブログからが大半を占めています。そのため、ブログ内のコンテンツという資産を最大限活かすには、従来の広告手法ではなく、Outbrainのような「読み物」と相性の良い広告フォーマットが最も適していると感じていました。 TRENDEMONを本格導入した理由 (TRENDEMON):流入施策を含め、旧来のマーケティング手法から新たにコンテンツ施策にも注力されている中で、弊社TRENDEMONのご利用を検討頂いた背景についても簡単にお話をお聞かせ頂けますでしょうか? (今井様):キッカケとしてはOutbrainを利用し始めたタイミングで、従来の分析計測ツールではカスタマージャーニーや、マーケティングファネル全体の動きを捉えようとしたときに、限界を感じたためです。 弊社の商材は比較的時間をかけたコミュニケーションが必要になるため、マーケティングファネルごとにどのようなコンテンツが求められているのか把握する必要がありました。TRENDEMONではセッションを超えて、ユーザーのジャーニーを可視化し、どのフェーズでどのようなコンテンツが効いているのか一目瞭然で可視化できるので、コンテンツ施策を行っていく上で必要としていた機能を兼ね備えていました。 ※TRENDEMONコンテンツダッシュボード管理画面 (佐藤様):プロダクト機能そのもの以外に導入を決めた理由としては、カスタマーサクセスやリクエスト機能開発なども決め手にありました。現時点ではない機能についても、新たな開発対応、導入後の設定サポート、改善提案や施策実行など含めてトータルで利用価値があることが、ある意味他にはないTRENDEMONの特徴であると感じました。実際特にMAツールなどは導入したことに満足して、改善活動まで手が回らないことがほとんどかと思うのですが、TRENDEMONでは計測分析から施策まで、一連のサイクルを一気通貫で実行できることがもう一つの魅力です。 (TRENDEMON):ありがとうございます。元々、弊社TRENDEMONの創設者であるCEOのAvishaiというものがTRENDEMONを開発しようと思った原点に、彼自身がコンテンツマーケティングに取り組み、コンテンツ制作の苦しみや、評価分析の困難さなど、マーケター自身が抱える悩みを自身で体験してきたことが大きく影響していると思います。 TRENDEMON導入後によって得られた改善成果 (TRENDEMON):TRENDEMONをご利用後、実際にどのような改善成果が得られましたでしょうか? (今井様):コンテンツ分析だけでなく、TRENDEMONではPersonalization(パーソナライゼーション)という計測データをもとにジャーニーを自動最適化するレコメンド機能があり、その機能でサイト内の回遊エンゲージメントやCV導線を強化することができました。 ※TRENDEMONのPERSONALIZATION機能の概念図 ※TRENDEMONのPERSONALIZATION機能内の回遊用のレコメンドウィジェット(中央2段)、資料請求誘導用のCTA(右下) (今井様):また、MAツールとの連携施策においてはMA上のフォームを使いながらTRENDEMONのパーソナライゼーションで出し分けを行うことで新規のリード獲得数を一定数増加させることができました。 ※MA上のフォームを利用したTRENDEMONによるリード獲得型のレコメンドポップアップ (TRENDEMON):ありがとうございます。パーソナライゼーションサービスは今後国内でも大きな一つのトレンドになるかと思うのですが、この手の施策はちょっとした施策で大きな改善成果が得られるので是非とも今後も様々な取り組みを行っていければと思っております。 (TRENDEMON):最後になりますが、貴社の今後の展望や弊社に対してのリクエストなどございましたら、ご意見お聞かせ頂ければ幸いです。 (今井様):今後実施してみたい部分としては、カスタマージャーニー上で初回接触に絞ったときや、特定の流入元やタッチポイントで切り取ったときのコンテンツインサイトを発掘していきたいと思っています。そうすることで、これまで見えてこなかったフェーズごとのユーザーインサイトやコンテンツの新しい切り口を見つけることができればと思っています。 (佐藤様):弊社としては、現在はリード獲得の領域でコンテンツ施策などを注力しているところではありますが、今後はリード獲得後の引き上げやリテンション施策においてもマーケティング施策を踏み込んで強化していければと思っております。TRENDEMONに期待するところとしても、最初のフェーズだけでなく、最終地点部分の施策までも一緒に今後もマーケティング施策を行っていければと思っております。 (TRENDEMON):貴重なお話を頂きありがとうございます。弊社としてもこれまで以上のプロダクト機能の拡充開発とユーザービリティの向上を図るべくプロダクトアップデートを大幅に予定しておりますので、引き続き皆様のマーケティング活動を最大限ご支援していければと思っておりますので何卒宜しくお願いします。 ※この度はご多忙のところ今回の取材にご協力頂きました、スタディストの佐藤様、今井様には重ねてお礼申し上げます。
〜TRENDEMONをご活用頂いている企業のご担当者様に、実際のご利用方法やコンテンツマーケティングの取り組みについてご紹介する、インタビュー企画。第3弾は世界No1コンテンツマーケティングプラットフォーム「NewsCred」を提供する株式会社アマナ様にお話をお聴きしました。〜 株式会社 アマナ 執行役員 佐藤 勇太 様 (プロデューサーとしてグラフィック、映像、WEB、イベントなど、幅広くコンテンツ制作事業に従事。現在は、国内外のデジタルマーケティングプラットフォーマーとの連携を推進しながら、デジタルマーケティング事業を担当。 ) 株式会社 アマナ Content Marketing Advisor 寺西 葉月 様 (事業会社でマーケティング経験を積み、2018年にアマナに入社。現在は、NewsCredサービスを中心に、企業のコンテンツマーケティングの戦略設計・コンサルティングを担当。) (TRENDEMON):それではまず、簡単に自己紹介をお願いします。 (佐藤氏):私はアマナのデジタルマーケティング事業を担当しているのですが、その中で、国外最先端のマーケティングテクノロジーやアドテクノロジーのソリューションを、国内のクライアント様にいち早く新たな選択肢として提供することを一つの重要ミッションとしております。 (TRENDEMON):アマナさんをご存知の方は広告コンテンツの制作事業やクリエイティブ事業のイメージを強く持たれている方が多いと思うのですが、デジタル領域にも進出してきた背景をお聴きしても宜しいでしょうか? (佐藤氏):企業の歴史として、ビジュアル表現力を強みとしたあらゆる広告コンテンツの企画制作事業を中核としてやってきたこともあるのですが、2017年に、世界のコンテンツマーケティングをリードするNewsCred(本社:アメリカ合衆国ニューヨーク州)と、日本市場独占パートナーシップを締結したことが一つのターニングポイントだったかと思います。クリエイティブ・コンテンツを生業にしているからこそ、生活者とのこれからのコミュニケーションを考えたときに、デジタルをベースとしたコンテンツの価値を今後どのように見出していくべきなのか、当社としても向き合っていかなくてはならないのと、お客様からもそういったご相談が多く寄せられていた背景がありました。 ■NewsCred(ニュースクレド)とは NewsCredは、世界各国の出版社やデジタルパブリッシャーが保有する「約5000メディア・4000万コンテンツ」にのぼる良質なライセンスドコンテンツを、独自のマネジメントシステム「コンテンツ・マーケティング・プラットフォーム」を通して提供しています。多くの企業がオウンドメディアやSNSを通し顧客とダイレクトに繋がる時代、企業が伝えたいことを一方的に発信する「プッシュ型」のコミュニケーションから、顧客の興味関心に紐づくコンテンツを通して自らサイトに訪問してもらう「プル型」のコミュニケーションへとシフトしています。海外においては、86%のBtoB企業がコンテンツを活用したオウンドメディアを運用している※3と言われています。NewsCredは、IBM、マイクロソフト、シスコ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ツイッターといった大手企業約300社に採用された実績を持ち、高いマーケティング効果を生み出し、世界的に評価をうけています。 「NewsCred」サービスサイト:https://newscred.jp/ (寺西氏):私は2018年にアマナに入社したのですが、それまでは事業会社側でマーケティング業務を担当していました。当時はマーケティング施策の中でも比較的短期間で効果を出すようなキャンペーン企画を担当しておりました。アマナに入社しコンテンツマーケティングアドバイザーを担当して以来、お客様と長期的なコミュニケーションを築きながらマーケティング活動をサポートしていく中でこれまで経験したことのない難しさも感じつつ、日々やりがいを感じています。 日本と海外のコンテンツマーケティングの差について (TRENDEMON):寺西様が現在日本国内でのNewsCredの導入推進をご牽引されている中で、お客様と最も向き合っておられるからこそ感じておられる日本国内のコンテンツマーケティングの課題や、海外との違いなどございますでしょうか? (寺西氏):NewsCredの本社があるアメリカでは、コンテンツマーケティング市場は日本の5、6年先を進んでいると言われていて、NewsCredプラットフォームの機能がアップデートされる度にやはりアメリカの先進性は感じますね。コンテンツ制作の現場で、日本では担当者と編集者がExcelやWordでコミュニケーションを取り合っているケースがまだまだ多い中、アメリカの多くの現場では制作工程のすべてをプラットフォーム上で完結させています。日本とアメリカではそもそも国土の広さや、ビジネス上の文化も異なるので単純な比較はできないですが、何か課題が立ち上がる度にまずはデジタル上で解決を試みてそれを最適化していく習慣は、学ぶべきところが多くあると感じています。 (TRENDEMON):コンテンツマーケティングに限らず海外の企業が日本企業よりも2歩、3歩先にどの業界においても先行している現状だと思うのですが、日本になくて海外企業に共通する構造的な何かがあるのでしょうか? (寺西氏):そうですね、私が常々感じているのは海外の企業ではマーケティングを「フロー」で捉える習慣や仕組みがあるのではないかという点です。マーケティングでは常にPDCAで施策を回し続ける必要があるわけですが、国内のお客様からは、「コンテンツ単体で、どれだけのパフォーマンスが見込めるのか?」と聞かれることが非常に多いです。確かに短期的に考えるとコンテンツマーケティングは安い投資ではないので、そのような疑問を持つ背景も理解できます。しかし、コンテンツを世に出して、その反応から次回どのような(より読者の興味を引く)コンテンツを作るべきか?という高速なPDCAを回すフローにこそ、投資の価値があると私達は都度お伝えするようにしています。 (TRENDEMON):確かに国内ではマーケティング活動の定義自体が定まっていないように見られるように、販促活動を”マーケティング”として推進されている企業が多く見られたり、コンテンツマーケティングにおいてもSEO施策単体で掲載順位やPVがどれだけ上がったのか、下がったのかだけでコンテンツの評価を下してしまっている傾向があるように思えます。 日本のジョブローテーションが与える影響 (佐藤氏):あと補足するならば、日本企業特有のジョブローテーションといった海外ではあまり見られない組織文化も大きく影響していると思います。例えば、海外ではマーケティング自体が専門職として確立されており、営業をやっていた人物が2年後にマーケティングの部署に配属されるようなことはほぼありません。数年ごとに部署が変わってしまうのでは、ナレッジやノウハウなど深まらず、さらには組織内にも溜まらず、意思決定の質やスピードともに多くの課題があるのではないでしょうか? (TRENDEMON):ゼネラリストかスペシャリストかみたいな議論はこれまで多くなされてきましたが、これまで類を見ない程、テクノロジーの進化が激しいマーケティングの世界においては、これまでのやり方では通用しなくなっているのかも知れないですね。 NewsCredとTRENDEMONの連携活用について (TRENDEMON):前置きが少し長くなりましたが、コンテンツマーケティングプラットフォームであるNewsCredを提供しているアマナさんですが、NewsCredを利用しているクライアント様でも弊社TRENDEMONをセットでご利用頂く事例が今年に入ってから徐々に生まれつつあるかと思うのですが、どのような背景で弊社にご興味をお持ちになられたのでしょうか? (佐藤氏):私が思うに、1つのツールだけを使えば全て解決するというような魔法のようなものは存在しないと思っています。大切なのは「クライアントの課題を解決する」ことであり、そのためTRENDEMONとNewsCredを組み合わせてコンテンツマーケティングを支援することがクライアントにとってベストであれば、当然そのように支援していくべきであると考えます。そういった考えの中で、TRENDEMONが持つセッションを超えたジャーニートラッキングなどのテクノロジーは、NewsCredと一緒に使うことで、お互いの強みを掛け合わせながらクライアントの支援を最大化できると思っています。 (寺西氏):まさに、その点については社内のメンバーとも議論していました。NewsCredではお客様のプロジェクトが成功に向かっているかを測る指標があり、その中に「分析ツールに適切な投資をしているか?」という質問項目があります。企業が掲げる多種多様なKGI、KPIがある中で、一般に開放されている計測ツールで全てを可視化するのには限界がありますよね。NewsCredではあくまで「コンテンツ起点」の分析をするので、カスタマージャーニーの全体像を把握したい企業であれば、TRENDEMONのようなプロダクトが必要になってきます。 (TRENDEMON):ありがとうございます。実際、コロナ以降特に再びコンテンツマーケティングに取り組む企業が多く出てきているように感じますが、国内のコンテンツマーケティングの歴史をみると、この数年やや下火になった一面も見られてきたかと思います。改めてコンテンツマーケティングの本質的な価値について少しずつ見直されてきているかと思うのですが、いかがでしょうか? (佐藤氏):おっしゃる通り、これまで日本国内では、コンテンツマーケティングをやること自体が目的化し「コンテンツを作る」ことばかりにフォーカスされ、それをどう評価してビジネスゴールと繋げてみていくのかという本質的な目的があまり考えられてこなかったかと思います。当時はコンテンツマーケティングに取り組む上で必要となる計測ツールなどのテクノロジーが整っていなかったことも、要因の一つかと思います。そうした中でグローバルではテクノロジーの進化とともに、そのテクノロジーを活用して本質的なコンテンツマーケティングをやり続けることによって、劇的な成長を遂げた企業が次々と出てきました。そうしたムーブメントを生み出した代表的な一つの企業がNewsCredです。 (TRENDEMON):直近ではGDPRやITPなどのCookieの働きを制限するような動きが強くなってきており、ユーザーデータを取得するのが日毎に困難な状況になってきているかと思うのですが、このような状況下だからこそ私達のような企業がテクノロジーの力でしっかりと企業のマーケティング活動を支援することが求められていると感じますね。 (寺西氏):はい。今まさに私が担当しているお客様のKPIのひとつに、「オウンドメディアのコンテンツを経由したコーポレートサイト(特定ページ)への遷移」などがあります。複数のドメインを経由していたり、ユーザーがセッションを超えたりしているため、順調に前進しているプロジェクトほど、計測範囲が複雑化しつつあります。そういったケースではTRENDEMONの技術をNewsCredと併せて活用させて頂いております。 (TRENDEMON):ありがとうございます。では、今後アマナさんが見据える国内でのコンテンツマーケティングについて、TRENDEMONに期待するものなどございましたら、最後にお話を頂けますでしょうか? (佐藤氏):今後も多くの企業がコンテンツを生み出し続け、コンテンツが世の中にさらに溢れていくとして、そのコンテンツをいかに自分たちのファンとなり得る方達に届ける(コンテンツとの出会いをつくる)ことができるのかという「ディストリビューション」の視点も同時に必要となります。そのため、当社では従来の広告メニューだけではなく、時代の流れを捉えた国外発の新興アドテクを、国内でも新たな選択肢として積極的にご提案しております。届けるという点においてその選択肢が充実する中で、TRENDEMONでは流入元の計測分析も行えるので、広告メニューごとの来訪ユーザーのジャーニーエンゲージメント分析ができ、最も顧客になり得る質の高いユーザーを流入させることができている広告メニューとそのコンテンツの掛け合わせを見極めています。 ジャーニーデータを使った拡張配信でCVRが数倍に (TRENDEMON):広告という観点からですと、直近では弊社のジャーニーデータをもとにユーザーの来訪エンゲージメント別にOutbrainやGoogle、Facebookなどで拡張類似配信も行えるようになったことで、CVRが通常配信の数倍以上改善することができている事例も国内で出てきています。Content is King, Distribution is Queenと言われているように、コンテンツマーケティングはオーガニック流入だけでは完結しないと思っております。やはりコンテンツの持つ可能性を最大限発揮させるには一定のディストリビューション施策は必要であると思いますので、そのための機能を引き続き拡充していければと思います。 (寺西氏):私がTRENDEMONに期待することとしては、「事業に貢献する」というコンテンツマーケティングの大きなテーマと並走して、ユーザーが本当に欲している情報を明らかにすることです。コンテンツ一つひとつがどれだけの引力を持って、ユーザーと企業を繋ぐことができたかはNewsCredでも可視化することができますが、ユーザー一人ひとりのエンゲージメントや行動までは追うことができません。TRENDEMONのジャーニートラッキングと、「サイト来訪者への定性調査」などを掛け合わせることで、コンテンツがユーザーのマインドにどれだけ影響したのかを質と量の両方から明らかにしていきたいです。そうすることで、コンテンツが持つ価値を今まで以上に多面的に表現できるようになり、延いては事業貢献に繋げていきたいと考えています。 (TRENDEMON):貴重なご意見をありがとうございます。定性調査に関してですが、直近まさに、β版ではありますが、TRENDEMONでは簡易的な調査機能ではありますがコンテンツサーベイというものをご用意させて頂いております。β版なのでシンプルな調査フォーマットにはなりますが、手軽に狙った来訪ユーザーに対して調査を弊社のPersonalization機能内のCTAでご実施頂くことができるようになりました。過去にどのようなコンテンツを読んできたのかによって態度変容の差分分析や、コンテンツの読了のタイミングで表示させることも調整できるので、ユーザーのモーメントを捉えた鮮度の高い調査が可能となります。 (TRENDEMON):今後もTRENDEMONでは機能開発含め、国内のお客様からのフィードバックをもとに新たな機能をリリースすることができればと思っております。また、引き続きアマナさんのNewsCredとも連携しながら、国内のコンテンツマーケティングを一緒に発展させることができればと思っております。本日は貴重なお時間をありがとうございました!
※本件は、2020年6月24日(水)18:00~19:00に株式会社はてな様と共催したオンラインセミナー「コンテンツマーケティングの最新トレンドと情報資産活用」における第二部の書き起こしになります。 このセミナーの第一部のサマリーはこちらをご覧ください。 ======= 【質問に答える人】 サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 メディア統括グループ シニア メディアプランニング マネージャー 福吉敬さん 株式会社はてな サービス・システム開発本部 プロデューサー 磯和太郎さん TRENDEMON JAPAN 株式会社 セールス/マーケティング統括ディレクター 嶋添心悟 【質問する人】 TRENDEMON Marketing Director 栗田宏美 & セミナーにご参加された皆様 ※グラフィックレコード:上園海(@_okinawaa) ======= 事業会社の元オウンドメディア担当者がTrendemonのサービスに惚れた理由 (TRENDEMON栗田):第一部ではサッポロビール福吉さんの非常に先進的なコンテンツマーケティングに対するお取組みを、磯和さんに掘り下げていただきました。この第二部では、ちょっと趣向を変えて、Q&Aコーナーにしたいと思います。その前に、私とTrendemonの出会いについてお話ししたほうが立ち位置が分かりやすいかと思います 。 (はてな磯和さん):栗田さんが、セゾンさんのCVCにいらっしゃった時ですよね?どうしてそもそもTrendemonへのご出資を推進されたんですか? (TRENDEMON栗田):実は元々「SAISON CHIENOWA」というオウンドメディアを立ち上げから運営までやりまして、その経験から、TRENDEMONの示す方向性は、コンテンツマーケティングをやっている企業のペインを解決するなぁ、と思ったからです。当時、自分も含めてなんですけど、とにかくKPIがブレまくったという反省がありまして…。特にクレディセゾンは70券種以上カードを持っていますし、複数ドメインのWebサイトももちろん持っていますし、ドメインをまたいだユーザー分析はその当時あまりできませんでした。ジョブローテーションがあるので、なかなか分析回りのノウハウがたまらないという悩みもあり。コンテンツのROIを可視化することが出来なかったなぁという反省があったんです。なので、TRENDEMONはひとつの機能を研ぎ澄ませたサービスというより、アトリビューション計測・分析・Web接客などインプット/アウトプット両面でのコンテンツマーケティングにまつわる課題解決型サービスというところもイスラエルっぽくて、スケールの可能性を感じさせました。第二部は、そんな私が福吉さんと磯和さんに、聞きたいことを聞いちゃおうのコーナーです!(笑) (はてな磯和さん):なるほど(笑)。理解しました。 「前提」に合っているCMSを選ぶことで、時間とリソースが節約できる (TRENDEMON栗田):では早速なのですが、磯和さんに質問です!オウンドメディアを構築していく際、仕組みを選ぶことになると思うんですけど…CMSの違いについて知りたいです。選び方のポイントや、目的別の向き不向きを教えてください! (はてな磯和さん):すごく分かりやすく言うと、優秀なエンジニアが社内にいっぱいいて、すぐ対応できて、Webマーケティングのトレンドも理解されてるんだったら、全部スクラッチで作ればいいと思います。でも、そんなリソース・時間・ノウハウが揃っている場合って、滅多にないわけですよね。負担を軽減するために、いろいろなCMSがありますので、自社のオウンドメディアに合うものを選ぶのが良いと思います。 例えば商品部と随時連携して商品情報をどんどん更新していくということが前提にあるんだとしたら、商品情報を必要なタイミングで柔軟に取り込むための仕組みが備わっているかどうかも選定のポイントになりえます。コミュニティを作ることが前提にあるんだとしたら、コミュニティ運営に必要な機能が最初から実装されているCMSのほうが、使う側の手間が省けますよね。 そういう「マスト」な前提が何かによって、WordPressなのか、SaaSのCMSなのかを選んでいくと良いと思います。 ただ、WordPressの場合、アップデートだったり運用トラブルへの対応も必要なので、それができる体制を整えることができるかもポイントになると思います。体制に不安がある場合は「はてなブログMedia」のようなSaaS型CMSから選ぶのが良いと思います。 ちなみに、サッポロビールさんはWordPressを使われてますよね? (サッポロビール福吉さん):そうですね、いわゆるブログメディア的なものはWordPressを使っていて、サイト自体はPower CMSです 。 (はてな磯和さん):使い分けてらっしゃるんですね。 (サッポロビール福吉さん):そうですね。 (はてな磯和さん):用途・リソースによって使い分けるといいですね。サッポロビールさんのように、何に重点を置くかを軸にCMSを選ぶと良いと思います。 商品を主役にするのではなく、文脈の中に商品を「置いてくる」 (TRENDEMON栗田):次は福吉さんにお聞きしたいです。社内でコンテンツマーケティングを啓蒙する工夫をされていますか?第一部で、「社内勉強会」について触れられていましたが、どんな人を対象にどんな内容の勉強会をされていますか? (サッポロビール福吉さん):まずは僕たちの場合、いかにブランドに触れてもらうか、がコミュニケーションの至上命題なので、ブランドマネージャーを対象に勉強会をやっています。ブランドマネージャーと会話をするんです。「何を実現したいのか?」「どんな人に伝えたいのか?」「ブランドのありたい姿は?」そんな風に聞いていくんですけど。要説明商品や理解深耕をはからないといけない商品には、コンテンツがすごく効くんですよ。でも、一回で伝えるのか、複数回に分けて伝えるのか、それは商品ごとに違います。メインストリームの商品はテレビCMを何千GRP流していきましょうとかやるんですが、そこから先、「この商品はこういう商品です」と伝えていくのはコンテンツマーケティングなんですよね。 ブランドマネージャーには、とことん寄り添って一緒に作ることを意識しています。そこまでやらないと、良いコンテンツは出来ないと思っています。例えばプライベートDMPチームに、「一緒に分析してください」って巻き込んでいくとか、社内だけではなく外部についても例えばツールの管理画面を代理店さんやパブリッシャーさんにも開放して、成果の分析を一緒にやったり、パートナー企業を含めてラウンドテーブルを作っています。 (TRENDEMON栗田):なるほど!あ、セミナーの参加者の方から質問がきました。福吉さんに質問です。「ゴールを商品の購入だとすると、オウンドコンテンツ内で商品の魅力を一方的に押し付けてしまうような企業側の伝えたいことばかり詰め込んだコンテンツになりがちです。そうしないようにするための工夫は、どんなことをされていますか?」とのことです。 (サッポロビール福吉さん):商品の作りにもよるんですが…。僕は、コンテンツマーケティングをするときによく「商品を置いてくる」という表現をします。文脈を作っていって、知って欲しい人たちが興味関心のあるものを見つけ出したら、その文脈の中にどう商品を置いてくれば、一番受け入れられるのかということを考えるようにしています。「この商品はこんなに原料にこだわって、こんなところがおいしさの秘密で…ドヤ!」みたいなコンテンツをあまり作らないように心がけてるんです。 なので、僕が目指すのは、例えばレシピ主軸にコンテンツを作って、「このレシピ美味しいですよ、週末に家族と一緒に食卓をワイワイ囲むときは作ってみてね、そしてこの商品はこういうレシピに合うから飲んでみてね」みたいな。商品ではなく、顧客の求めるシチュエーションとか顧客の興味を主役にしたい。商品を主役にしてしまうと、商品に興味がある人しか来ないんですよ。これは、過去の失敗から学んだことです(笑) 編集力より、編成力。オウンドメディアを作るために必要なスキルとは (TRENDEMON栗田):次は、お二人に聞きたいです。オウンドメディアをやるにあたって、編集力は必要か?出版社でもなくコンテンツクリエーターでもない普通の企業が、オウンドメディアをやるにあたって、編集力が必要だと思うんですけど、どう編集力をつけたらいいでしょうか? (サッポロビール福吉さん):正直、僕は編集力よりもオリエン力のほうが大事だと思ってるんです。やりたいことを言語化して、説明する力のことですね。最悪、事業会社は文章書けたほうがいいけど書けなくてもいいし、編集できるに越したことはないけど、編集できなくてもいいと。こういう結果が欲しいので、こういう方法で評価したいです…みたいな、一連のオリエンテーションが出来るという。自分のやりたいこと・ブランドのやりたいこと・会社のやりたいことを明文化して、ちゃんとプロフェッショナルに説明できるスキルのほうが大事だと思います。小説家になるわけでも、編集者になるわけでも、写真家になるわけでも無いので。 (はてな磯和さん):同意です。しいて言うなら、例えばニッチな商材で、コンテンツを作れるところが自社しかないっていう状況なら、編集力は必要だと思うんですが、そうじゃない一般的な場合は、上がってきた企画や記事について、「これを先に出そう」とか優先度を決める力…つまり「編成力」が大事だと思います。編集力より、編成力のほうが必要。その編成力の延長線上で、編集力があるならそれはそれで、オリジナル記事をゼロから作ることが出来るってことなので強いとは思いますが。採用目的のコンテンツとかは、文章がたとえ拙くてもオリジナリティや会社の良さが伝わることを優先して、自社の社員が書くことで説得力増しますし。全体の戦略があって、ゴールがあって、それに向かうためにどうすればいいかを言語化するスキルのほうが大事かもしれませんよね。 (サッポロビール福吉さん):今お話ししてて思ったんですけど、「エグゼキューション力」も大切かもしれませんね。「エグゼキューション力」っていうのは、社内を突破する力という意味で使っているんですけど、それが無いと延々と「なんか違うんだよね」っていうコミュニケーションが発生するんですよね。なかなか難しいんですけどね(笑)。でも、「なんか違うんだよね」が始まると、言語化できていないから解決策がわからなくて、負のスパイラルになっちゃうんですよね。 (はてな磯和さん):販促系のプロモーションで、代理店の現場であるあるですね…(笑)。クライアントに「なんか違う」ってボツにされて、それを持ち帰って上長に説明するとき、自分も言語化出来ないし、修正依頼もかけられないという…。補足すると、それを防ぐためには外部やパートナーも巻き込んで「編集部」を組成して、評価の方法も含めて共有する仕組みを作ると、事業主側にもノウハウが蓄積されやすいなと思います。 コンテンツマーケティングの両輪、「コンセプト・パーパス」と「評価方法」 (TRENDEMON栗田):ところで、コンテンツの評価については、オウンドメディアをやる上で外せませんよね。福吉さんのところは、ちゃんとその評価ロジックが整理されているというところが凄いと思います。データを見る順番を決めるとか、やってみると難しいんですよね。 (はてな磯和さん):GAで出来ることもあるんですけど、アトリビューションを取ろうと思うと難しいところもありますしね。でも、コンテンツマーケティングを続ける意味って成果だと思うんで、成果をどう測るかを、設計することはとても大事ですよね。そこで、TRENDEMONさんの出番なんだと思うんですけども。 (TRENDEMON JAPAN嶋添):はい、実際ECサイトの売上とつなぎこんで、どのコンテンツがいくら分の売上に貢献しているのかを可視化している、アメリカのWalmartさんの事例もあります。媒体に広告記事を出稿する場合も、その媒体にTRENDEMONタグを入れてもらって、可視化しているんです。ラストタッチでは追えない、ナーチャリングフェーズに効いていたコンテンツも、これで価値を測れるようになりました。 (TRENDEMON栗田):コンセプトとかパーパスがまず大事ですが、それとセットで評価方法を設計しておかないと、更新が目的になってしまいますから…。最後に、コンテンツマーケティングに取り組む皆様に向けて、コンテンツマーケティングの極意を、福吉さんお願いいたします! (サッポロビール福吉さん):幸い、弊社はとてもチャレンジしやすい環境なので、コンテンツマーケティングの施策がやりやすいです。成果が悪かったことをなじるのではなくて、「なぜ失敗したのか?」を追究し、次の施策に活かす。その社風作りというか、組織風土作りが必要だと思います。そして、コンテンツマーケティングは「何を達成したいか」をちゃんと持って始めると良いと思います。コンテンツマーケティングをうまく進めるコツは、事業会社→広告代理店→編集会社→ライターみたいなリレー型コミュニケーションをするのではなく、関係者みんな円卓に座って議論するラウンドテーブル型のコミュニケーションをしたほうが良いと思っています。 (TRENDEMON栗田):磯和さん福吉さん、貴重なお話本当にありがとうございました。ご参加いただいた皆様、ご清聴ありがとうございました! また、TRENDEMONは、はてなさんのオウンドメディアCMS「はてなブログMedia」の導入企業様に「TRENDEMON」の導入トライアルをご提供しています。詳細はこちらのプレスリリースをご確認ください。 本セミナーのオープニングトーク・第一部のレポートはこちらのリンクをご覧ください。 【セミナーオープニングトーク:コンテンツマーケティングのトレンドと、TrenDemonが提案するコンテンツドリブンな世界(オンラインセミナーレポート)】 【セミナー第一部:サッポロビールが取り組むコンテンツマーケティングと情報資産活用 】 定期的にプロダクトアップデート、コンテンツマーケティングの基礎知識、セミナー情報をお届けしています。TrenDemonからのお知らせを受け取りたい方はこちら TrenDemonはコンテンツマーケティングのROIを可視化するマーケティングテクノロジーSaaSツールです。サービス・プロダクトに関するお問い合わせは sales@trendemon.com まで
〜TRENDEMONをご活用頂いている企業のご担当者様に、実際のご利用方法やコンテンツマーケティングの取り組みについてご紹介する、インタビュー企画。第2弾はキャリア転職サイト『type』を運営するキャリアデザインセンター様。様々な業界で活躍される注目人物へのインタビュー記事からキャリアに関する多彩な良質コンテンツを一体どのようにして常に世に出し続けることができているのでしょうか?今回は同社のコンテンツ制作をご担当されている根本愛美様にお話をお聴きしました。〜 https://type.jp/ https://woman-type.jp/ 株式会社キャリアデザインセンター メディアARP推進局 TKS課 根本 愛美 様 (TRENDEMON):それではまず、簡単に自己紹介をお願いします。 (根本氏):弊社は、総合転職サイト『type』と、女性向け転職サイト『女の転職type』の2つを運営しているのですが、私は主に両サイトの中にある「転職ノウハウ」というコーナーで、コンテンツ制作を担当しています。 コンテンツとの出会いについて (TRENDEMON):コンテンツの制作・運営には専門的な知識が求められると思うのですが、根本様はどのようにしてご経験を積まれたのですか? (根本氏):新卒で弊社に入った当時は紙媒体の編集者としてスタートし、女性向けやエンジニア向けの求人雑誌で特集などを作っていました。その後、営業職や外の会社でフリーペーパーの編集などの経験を積んで今に至ります。Webの知識、経験は、会社の方針として、情報発信の媒体が紙の雑誌からデジタルへ移行したのにあわせて徐々に……という感じです。 抱えていたコンテンツの課題 (TRENDEMON):現在、多くの企業がコンテンツに大きな費用を投じながら、その価値証明ができず、立ち止まっているケースが見受けられます。コンテンツの制作・運営に関して、御社が現在、そしてこれまで抱えてきた課題とは、どのようなものだったでしょうか? (根本氏):転職サイトにおいて一番のコンテンツは、「求人広告」です。私が担当している転職ノウハウに関する記事コンテンツは、経営的な視点から言えば、求人広告への“つなぎ”に他なりません。「職務経歴書の書き方」や「面接の質問例」といったコンテンツが、最終的に「求人への応募」にどれくらいの影響を及ぼしているのかを具体的に把握できないことが課題でした。 (根本氏):TRENDEMONの導入以前には、「コンテンツ来訪セッション内でのCV」や「コンテンツにランディングしたユーザーのCV率」などを指標に価値貢献を測ろうとも試みましたが、コンテンツが担っている役割を完璧に数値化できているとは言えず、検証することはできませんでした。コンテンツの本質的な価値を証明するにはPV、UUといったお決まりの指標だけでは不十分であり、なにか良い指標はないかというのが悩みの種でした。 (TRENDEMON):実際にコンテンツを制作・運営している根本様だからこそ感じられていた課題などは他にもございましたでしょうか? (根本氏):私自身がもともと雑誌の編集からキャリアをスタートさせていることもあり、「どのようなターゲットユーザーに、どのようなコンテンツを当てれば刺さるのか」という企画発想は慣れているのですが、一般的には、現在のWebコンテンツの企画方法はSEOにウェイトを置く部分があるので、Webをやり始めた当初はそのすり合わせには苦労しましたね。今でも、「SEO的にはこの見出しだけど、サイト内導線で訪れたユーザーに対しては分かりにくいのではないか」といった小さい悩みは尽きないです。 「SEO」が全てではない (TRENDEMON):SEOは、確かにコンテンツを作るうえで非常に重要な視点である一方で、プラットフォーム側のアルゴリズム変更により、順位が容易に変わってしまうといった側面もあります。直近では、SEOを重視しすぎるがあまり、ターゲットとするユーザーを見ていないコンテンツが量産され、結果としてコンテンツマーケティングがうまくいっていない企業も多いように見えます。その点、貴社のSEOに対する考え方はどのようなものでしょうか? (根本氏):弊社には専属のSEOチームがあるのですが、幸いにも、制作編集チームとSEOチームの共通認識としてあるのが「SEOが全てではない」ということです。そのため、SEOチームからKWを意識しすぎた極端な依頼が来ることはありませんし、コンテンツを企画をするときには必ず「そのコンテンツは本当にユーザーのためになっているのか?」という声が上がります。このような価値観をチーム内だけでなく、別の部署とも共有できていることで、スムーズに仕事ができていると思います。 「これまで見えなかったものが可視化できるようになった」 (TRENDEMON):組織全体としてコンテンツの存在意義についての共通の認識があるからこそ、質の高いコンテンツを生み出せているのですね。では、そういった中で実際にTRENDEMONを導入してみていかがでしょうか? (根本氏):導入してまだ1年に満たない段階ではありますが、一番大きかったインパクトは、「これまで見えなかったものが可視化できるようになった」ことだと感じています。先ほども述べた通り、これまでにも様々な指標を設けてコンテンツの価値を可視化しようとしてきましたが、経営指標に対してインパクトが小さく見える結果となってしまったり、経営指標との関連性が遠すぎたりするなど、私自身が自信を持って社内に報告することができていない状態でした。 (根本氏):それが現在では、例えば読了率や回遊率といったものだけではなく、「CVしたユーザーのうち、初回新規来訪がコンテンツだった割合」など、ジャーニーを長期間トラッキングできるTRENDEMONだからこそ得られる分析データが豊富にあるので、社内会議の際などにコンテンツの話題を出しやすくなっています。また、自分たちが作ったコンテンツがCVに効いているのかナーチャリングに効いているのかを分類できたり、エンゲージメントを得られているコンテンツのジャンルを可視化できたりもするので、新しいコンテンツを企画・制作する際の参考にもなっています。 (TRENDEMON):TRENDEMONはもともと、CEOがコンテンツ制作者向けに開発をスタートした歴史があるので、コンテンツ制作に弊社のデータをご利用いただいているのは、とても嬉しく思います。弊社のダッシュボードではほかにも、「Attentive(高頻度接触)ユーザー」といった独自の指標もご提供していますが、いかがでしょうか? (根本氏):弊社のコンテンツには、私の担当として冒頭にご説明した「転職ノウハウ」とは別に、転職自体はまだ検討していないものの、キャリアという広いテーマに関心のある一般ユーザーとの接点構築を目的とした、『エンジニアtype』『20’s type』『Woman type』というマガジン系コンテンツがあります。このマガジン系コンテンツに関してAttentiveユーザー、つまりは何度も来訪しているユーザーが多く読んでいるコンテンツを見てみると、やはり「転職」にまつわるコンテンツが多く読まれていることが分かりました。 『20's type』 『エンジニアtype』 『転職ノウハウ』 (TRENDEMON):弊社の統計上、Attnetiveユーザーは通常の来訪ユーザーに比べてCVRが平均して3倍以上あることも分かっているのですが、そうした発見を受けて、コンテンツを制作する上で何か変化はありましたでしょうか? (根本氏):マガジン系コンテンツを担当しているメンバーは、コンテンツの性質上、これまではあえて「転職系コンテンツを作り過ぎないように」という意識を持っていましたが、転職にまつわるコンテンツのCVへの貢献度が改めて高いと示されたことで、今後はそういったコンテンツの拡充も検討したいね、という話になっています。目に見える数字として可視化されることで、そういう合意形成が作れたことは大きいと思います。 Attentive audienceサンプルイメージ (TRENDEMON):最後に、今後TRENDEMONについて期待するところ、改善してほしい部分がございましたら、率直なご意見をいただけますと幸いです。 (根本氏):現状は、御社による月に一度のレポーティングによって新しいインサイトを発掘いただいているのですが、正直なところ、まだ社内で私たち自身が日常的にダッシュボードを使って分析するところまでは至っていません。ツールから得られる改善施策を推し進めるためにも、今後は一人でも多くのメンバーが、ダッシュボードを自ら使うレベルまで持っていく必要があると思っています。現状そこまで使えていない理由としては、もちろんリソースの問題もあるのですが、ダッシュボード上では、弊社用にカスタマイズいただいている毎月のレポートのようには見たい数字が見られない点もあると思っています。 (TRENDEMON):貴重なご意見をありがとうございます。おっしゃる通り、ダッシュボードにはまだまだ改善の余地があるので、いただいたご意見をもとに、開発チームと連携して改善していければと思います。本日は貴重なお時間をありがとうございました! インタビュー後記 今回の根本様へのインタビューを通して、「どのようにすれば良質なコンテンツを常に作り続けることができるのか?」という問いに対する一つの答えがわかったような気がします。それは、コンテンツを制作する方だけでなく他部署の社員様、そして社内全体として共通の価値観がコンテンツに対して共有されているからこそ実現させることが出来ているのだと思いました。 しかしながら、現実問題として社内全体でコンテンツに対しての価値観の合意形成をするのは容易なことではないかと思います。その理由としては、コンテンツコミュニケーションは短期間で成果が見えるものではなく、またそれだけで売上成果が上がるものではないため、その価値を明らかにすることは非常にこれまで困難とされてきました。 しかし、そのような状況だからこそ、今後はコンテンツコミュニケーションにおいてはPVといったトラフィックだけではなく、明確にどのようなコンテンツがどれだけのエンゲージメント数値を獲得し、売上としてどれだけのROIがあるのかという、これまで可視化できなかった領域にチャレンジすることがより一層求められてくると考えます。 コンテンツROIをドライブさせるPERSONALIZATION 良質なコンテンツを作ることも重要ですが、作ったコンテンツを適切なユーザーに適切なタイミングで、ユーザーが求めているコンテンツを届けることもこれまで以上に重要になっています。そこで、キャリアデザインセンター様でもご利用頂いているのは弊社のジャーニーデータにもとづいたコンテンツをユーザーごとにオートレコメンドすることができる"PERSONALIZATION"です。 ※PERSONALIZATION:(左下)レコメンドウィジェット4枠、(右下)CTAの掲載イメージ例 TRENDEMONではユーザーが過去にどのようなコンテンツを読んできたのか、カスタマージャーニーを長期間トラッキングすることが可能なため、メディア内にあるコンテンツの中でユーザーが過去に読んできたコンテンツやパフォーマンスの良くないコンテンツなど、いわゆる"レコメンドすべきでない"コンテンツを自動的に排除し、ユーザーごとにレコメンドすべきコンテンツを出し分けることが可能となります。 PERSONALIZATIONを導入頂いた企業様の多くでサイト内のCVR、回遊率など短期間で大きな改善成果が見られています。PERSONALIZATION施策は一般的に導入する際に非常に労力がかかる側面もございます。しかし、TRENDEMONのPERSONALIZATIONではジャーニーデータを内包することで独自の機械学習によってオートレコメンドをすることが可能なため、ご担当者様の負担なく大きな改善成果をおさめることが期待できます。 このようにTRENDEMONではコンテンツ計測だけではなく、PERSONALIZATIONといった改善施策まで一気通貫で行うことができます。今後もさらなる機能アップデートを予定し、一つでも多くの国内のコンテンツマーケティングに取り組む企業様のご支援をできればと思います。
〜TRENDEMONをご活用頂いている企業のご担当者様に、実際のご利用方法やコンテンツマーケティングの取り組みについてご紹介する、インタビュー企画。記念すべき第一弾はサッポロビール株式会社様です。『男は黙ってサッポロビール』という名コピーで知られているサッポロビールですが、企業のコミュニケーションがマスからデジタルへとシフトしていく中で、ビール会社としてこれから生活者との間でどのようなコミュニケーションを新たに築こうとしているのでしょうか?国内においてまだ前例のない海外の新興アドテクノロジーのみならず、コンテンツマーケティングにおいても先進的な事例を創り続けているサッポロビールマーケティング開発部コミュニケーションデザイン室 福吉敬氏にお話を伺いました。〜 <PROFILE> サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 コミュニケーションデザイン室 福吉 敬 氏 略歴: 1972年北九州市出身。多摩美術大卒。 国内酒類メーカーから外資メーカーを経て、サッポロビール株式会社へ。 (TRENDEMON):まず、ご担当されている業務について簡単に教えてください。 (福吉氏):マーケティング開発部コミュニケーションデザイングループというところで、主にメディアプランニングとバイイングを担当しています。デジタル領域の広告施策の全体プランニングに始まり、分析なども担当しておりますが、施策の中で雑誌やラジオやTVなどのメディアとの連携が求められてきており、デジタルだけではない統合的なプロモーション領域も担当しております。 サッポロビールとの出会いについて (TRENDEMON):「男は黙ってサッポロビール」という名コピーにあるようにサッポロビール様は昔から特にクリエイティブやコンテンツというものに強い独自性やメッセージ性があるように感じています。福吉様がもともとサッポロビールに入社しようと思ったのもそういったブランドメッセージ、コンテンツに魅せられたものがあったのでしょうか? (福吉氏):もともと以前からエビスビールの愛飲者であり、ファンだったということもあるのですが、実は私の生まれ故郷が北九州市の小倉というところで、サッポロビールのビール工場が家の近所に当時存在していて、個人的な原風景として記憶に残る身近で特別なブランドでした。そういったこともあり、入社のオファーを頂いた時にはとても嬉しかったのを覚えています。 サッポロビールが考えるコンテンツマーケティングの重要性について (TRENDEMON):今現在、アドブロックやITPによるCookie排除の動きが高まっている中で、サッポロビールとしてコンテンツマーケティングに対しての取り組みを改めて強化されている理由はどこからきているのでしょうか? (福吉氏):ご周知の通り、アドブロックといった問題だけでなく、根本的に情報が溢れている今現在、生活者の方とのコミュニケーションを企業が取る上で重要なのは、どれだけ「自分ゴト化」をしてもらえるかだと思います。趣味嗜好が多様になっているからこそ、「自分ゴト化」をしてもらうには企業が発信するものは、一方的なメッセージではなく、1人1人に合わせたストーリー性を持った深く刺さる「コンテンツ」である必要があります。私個人の中で言えば、家の近所にあった「ビール工場」が一つのストーリーを持つ、思い入れの拠り所になっています。 (TRENDEMON):「自分ゴト化」してもらうには、企業が1人1人の生活者の文脈に寄り添うことが求められるからこそ、そのためにはコンテンツマーケティングが必要だということですね。 (福吉氏):はい。ブロードで純広を打つような一度で広範囲な情報を届けるリーチ重視のプロモーションのあり方だけではなく、コンテンツマーケティングのような確実に1人1人の生活者に寄り添ったコミュニケーションもこれからの企業発信のあり方として形作っていきたいと思っております。 抱えていたコンテンツマーケティングの課題 (TRENDEMON):コンテンツマーケティングが重要であるという一方で、これまで多くの企業がコンテンツマーケティングに挑戦したものの、本当に意味があるのか?といった疑念を持たれている現実もあるかと思うのですが、サッポロビール様が抱えていたコンテンツマーケティングの課題はありましたでしょうか? (福吉氏):はい。コンテンツマーケティングを実施していく上で、当然あるコンテンツを企画する上で仮説をもとに制作していくのですが、実際に自分達が頑張って作ったコンテンツが本当に人々の心に届いているのか?ブランドに対して少しでも興味を持ってくれたのか?といったことが客観的なデータとして可視化することができていませんでした。従来の計測ツールでみると、確かにPVは伸びているか、滞在時間は増えているかはわかるのですが、あくまでそのデータは点でしかなく、その後のユーザーのジャーニー、動きは可視化することができませんでした。特に外部メディアなどのタイアップ施策においてはコンテンツを読んだユーザーがその後本当にブランドページに来訪してくれているのか?などは全く見ることができません。これでは、当然コンテンツマーケティングの真価を把握することは出来ていませんでした。 カスタマージャーニーの可視化によってコンテンツの価値が明らかに (TRENDEMON):そういった中でコンテンツ計測ツールTRENDEMONをご導入頂いて、その後はいかがでしょうか? (福吉氏):TRENDEMON導入後はこれまで自分達が作ってきたコンテンツが数値としてどれだけブランドに貢献しているのかをチーム全体で把握することができるようになりました。特に、弊社が作ってきた『OVER QUALITY』という日本中にある絶景スポットで撮影をしたアウトドア系のコンテンツがあるのですが、これまでなんとなく読まれている事はわかるのですが、その内、どれだけの人々が継続的にサッポロビールのブランドページに再来訪してくれているのか把握できず、この企画自体の継続意義が見いだせていませんでした。しかし、TRENDEMONの分析結果から、『OVER QUALITY』のコンテンツを読んだユーザーは読後行動として、その後各ブランドプロダクトページ来訪に貢献しているという非常に嬉しい発見がありました。コンテンツの貢献度を可視化することで、これまで以上に自信を持ってコンテンツづくりができるようになりました。 『OVER QUALITY』 出典:http://www.sapporobeer.jp/special/overquality/ サッポロビールが見据えるコンテンツマーケティングについて (TRENDEMON):最後に、サッポロビールが見据えるコンテンツマーケティングについてお聴きしたいのですが、数年前に国内ではオウンドメディアブームがあり、コンテンツマーケティングに取り組む多くの企業が増えた一方で、いまだに国内ではSEO対策の一つとしてコンテンツマーケティングを捉えている方が多く存在しています。今後、サッポロビールが見据えるコンテンツマーケティングのあり方について教えてください。 (福吉氏):今後、コンテンツマーケティング周りでは、まず現状各ブランドでそれぞれ実施していた自社コンテンツを一つにまとめるポータルサイトを作成しようと思っています。背景としましては、先程お話しました通り、企業のメッセージやストーリーを通常の純広告だけでは深く浸透させることが難しい状況があります。 この解決策として、まずはサッポロビールやお酒のファンだけではなく、ライフスタイル全体として幅広い人々に興味を持ってもらえるような場所をつくり、これまで接点を持つことができなかった生活者とエンゲージメントを少しずつ積み上げ、一人ひとりの気持ちに寄り添ったコミュニケーションをコンテンツマーケティングを通して実施していきたいと考えております。 “インタビュー後記” 広告の効果だけでなく、コンテンツの効果についてもこれまで以上にシビアに問われ出してきている現在、サッポロビール様の今回のコンテンツマーケティングの取り組みはとても多くのヒントがあったのではないでしょうか?(話が少し逸れますが)昨年開催されたコンテンツマーケティングワールドというグローバルイベントで、用いられたイベントキーワードは「TRUST」だったそうです。世界中のマーケター達が今企業に最も必要なのは人々の「TRUST」を獲得することだと考えて、日々コンテンツマーケティングを取り組んでいます。コンテンツマーケティングの意義が今改めて見直されている中、今回のサッポロビール様のコンテンツマーケティング事例のように、一人ひとりの生活文脈に寄り添ったコミュニケーションを目指していくことで、人々の「信頼」は勝ち得ることができるのではないかと思います。 既に知られているように、コンテンツマーケティングの道のりは極めて長く、実際にビジネスゴールへの貢献が感じられるまで商材によっては半年以上かかる場合もあります。しかし、サッポロビール様のようにまずはコンテンツの役割=ユーザーの気持ちに寄り添う(エンゲージメント)という中間指標を設けることで、短期間の間で何度もコンテンツの改善を図ることができます。そのためには、当然カスタマージャーニーを可視化することが求められます。TRENDEMONでは一人ひとりのユーザーがどのようにジャーニー上でコンテンツに対してエンゲージメント(読了、回遊、再来訪etc…)しているのかだけでなく、継続的にそのユーザーのジャーニーをトラッキングすることで、最終的にデジタル上だけでなく、外部パートナー様との連携で店舗上でも購買したのかを可視化することが可能です。これまでコンテンツマーケティングではコンテンツが本来のビジネスゴールにどれだけ貢献しているのかは、ブラックボックスの状態が続いていましたが、TRENDEMONによって、この状況を少しでも改善し、「コンテンツの価値計測」を少しでも普及させる事ができればと思います。
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